青いバス停

There have been buses for more than 90 years in Otsu City. 「専攻?」である大津営業所管内の京阪バスの歴史を主体とした交通関係の記事をはじめ、雑記を記しております。
石山駅前の、某バス会社の案内所に掲示されている英語の案内↓

IMG_6494.jpg

失礼なのですが、これはウケ狙いのジョークでなく、大真面目に訳したつもりなんでしょうか?
英語を先に見て、あとで日本語を見たのですが、「…どこにそんなことが書いてあるの?」と目が点になりました。

私でも何か所か明らかにおかしいと分かる、ということはネイティブが見たらもうボロボロで何が何やらさっぱりチンプンカンプンだということでしょう。

まず冒頭の回りくどい文章は、どんな難しい医学論文も真っ青の救いようのない超難解英作文です。
1. 京都の市バスよりも多い150種類の系統を運行しているらしい

The bus stop where the time required from JR Ishiyama station to MIHO MUSEUM is 50 minutes is a NO.3 bus stop, and there are 150 system numbers.



強いて無理やり訳したら、こんな感じでしょうか↓

石山駅からミホミュージアムまでの所要時間が50分であるバス停は、№3のバス停で、150(種類)の系統番号があります。 



いつから150系統ものバスを走らせるようになったのでしょう?

there are ……numbersと変なところでちゃんと複数形にしているから、どんなに頑張っても、150個存在しているという風にしか読めません。つまり、150番目とは考えられないのです。

そりゃ、辞書を見たら「所要時間」はthe time requiredだけど、こんなの、中学校で教わるIt takes~構文で十分じゃないでしょうか。
また、「系統番号」を和英辞典で調べると、確かにsystem numberが出てきますが、まあ普通使わないと思います。bus numberで十分でしょう。

It takes (you) 50 minutes (for you) to go to Miho Museum by bus. The boarding location is No.3. The bus number is 150.

( )内は省略可能且つ、書く時もどちらか一方だけです。
あまり短い文章をたくさん連ねると幼い感じがするかもしれないので、何なら、関係代名詞の非制限用法(継続用法)を応用して、

It takes 50 minutes to go to Miho Museum by bus No.150 , which leaves/departs/starts from the boarding location No.3.

という書き方もあり得るかと思います。

直訳すると、「ミホミュージアムまでは150番のバスで50分かかり、(そのバスは)3番乗場から発車します。」という感じです。

因みに、whichの前のコンマをとると、「関係代名詞の制限用法」となり、
「ミホミュージアムまでは3番乗場から発車する150番のバスで、50分かかります」
となります。まあ、これでも意味は十分通りそうですね。

2.「料金」と「運賃」

The charge to MIHO MUSEUM is one way of 820 yen.



chargeは100%間違いとは言えないと思いますが、日本語にすると「料金」が近くて、「運賃」というなら、やっぱりfareでしょう。
Googleで、"bus charge""bus fare"それぞれで画像検索すると、やはりfareがいいことは一目瞭然です。

この案内文では、どうしてofを使っているのか、820円の方が後ろに来ているのか、よく分かりません。
あ、あと細かいことを言うと、one‐way というふうにハイフンがないとダメです。

ミホミュージアムへの案内だということは当然の前提なんですから、ここでまたわざわざMIHO MUSEUMを繰り返す必要なんてありません。いちいち文章にしなくても、

Fare: One-way 820 yen (AmE) / Single 820 yen (BrE)



でいいと思います。

※AmEはアメリカ英語、BrEはイギリス英語です。 

文章にするなら、

The fare is 820 yen for one-way (AmE)/for single (BrE).

でしょう。

英語をアメリカ式にするかイギリス式にするかは書くひとの専門や考え方、その場所の状況次第ですが、日本人が普通に学校で勉強したり、街中で目にしたりする英語は、大抵アメリカ式ですし、アメリカとのかかわりが深いから普通はアメリカ式でいいだろうと思います。

ただ、鉄道の技術はイギリスから輸入された関係でrailway、platform、time tableなど、イギリス英語が多く用いられています(AmE;railroad track schedule ) 。

また、世界的には、日本やフィリピンなど、一部の国を除いて、英語を勉強するというと普通はイギリス英語なので、日本人にはなじみが薄いかもしれませんが、実はイギリス式の表記の方が分かりやすいというひとが意外と多いかもしれません。
一番いけないのは英米ちゃんぽんで、教養がないと思われるそうです。

次もすごい。

3. 運賃は「貨物箱」に支払うらしい

A charge is paid and wished to a freight box in the case of alighting.



料金は降車する場合に、貨物箱に支払われ、望まれている。



a chargeなんて主語はあり得ない。このバスの運賃に決まっていて、先の文章で話題に出ているのだからthe chargeでしょう。
尤も、それ以前に意味が無茶苦茶。ただ、alightなんて結構レベルが高い単語が出てくるってすごいなあと思います。私も最近知ったのですが、かなりコテコテのイギリス英語らしい単語で、電車やバスでよく使われるようです。アメリカではほとんど使わないそうです。get off「降りる」なら、alight「降車する」という雰囲気です。

それにしてもfreight boxって(爆)。何か私の知らない慣用句や言い回しがあるのかと思って調べましたが、分かりません。画像検索したら、段ボール箱のようなものや、テレビでよく見る、船便や航空便から下ろされてくる木箱などが出てきました。どうしてそんな単語を使ってしまったのか、全くもって分かりません。
運賃箱ならfare boxでしょう。

恐らく、

Pay the fare into the fare box when you get off the bus.

が一番普通で、一番作りやすい文章だと思います。もちろん、whenをasにしても構いません。京都の市バスはasを使っています。あとは一種の分詞構文で、"when getting off the bus" "in getting off the bus"としたりすることもできると思います。イギリスならget offのところをalightに置き換えても自然だと思われます。

4.バスの中で円をドルに替えられるのか?

When exchange is required, Please exchange with a money-changing machine.
Please exchange before getting off.



日本中どこに行っても、ありとあらゆるところで両替をexchangeと訳していますが、いい加減やめてほしいです。どうしてちょっと辞書を引けば分かることのチェックを怠るのか。

これを見ると私は、「バスの中で円をドルに、ユーロを円に替えられるのか?」と聞きたくなります。exchangeを両替という意味で使う時、それは「外貨両替」であって、小銭に崩すような両替はchangeなのです。

また、こういう「必要」をrequireなんていうのかも、かなり怪しいです。コンマ, の後なのに、Pleaseと、大文字で始めるのもおかしい。みんな中学校で教わっているはずなのに。

たぶん、こういう時は、

Have small change ready.. 又は、Exact fare, please.

「小銭のご用意を願います」「運賃は釣銭の要らないよう願います」
などと言った上で、

There is a change machine in (the front of) the bus.

「車内(前方)に両替機を設置しております」
くらい言っておけば十分伝わるのではないかと思います。日本語の発想をそのまま英語に当てはめても気持ち悪いです。

※余談ですが、青字で示したtheを省いて、There is a change machine in front of the bus.と書くとどうなるでしょう?両替機はバスの車体の外側の前方にあることになってしまいます。

※※※6月11日追記

最近、京都の或る食べ物屋さんで、「英語のメニューあります」のつもりで、"There is an English menu."と書かれているのを見て、気持ち悪っ!!と思ってしまいました。これじゃあ、

「(世界には)英語のメニューというものが存在しています」

と書かれているように見えて、その店にある、とは到底思えないんです。だからといって、
"There is an English menu at this restaurant."
ならいいかというと、100%間違いではないと思いますが、その店のひとが案内しているというより、外から客観的に誰かが言っているような印象を受けます。
自戒を込めて書くのですが、日本人はthere isを中学校の初期段階で教わるので、「○○がある」といえば全部"there is"を使いたくなってしまいがちな気がします。

こういう時は、
"We have an English menu."
が一番普通でしょう。

で、そこまで考えると、今回の「両替機」も、ちょっと事情は違いますが、
"The change machine is installed in the front of the bus."
などとする方がいいような気がしてきました。ドライバーが1人しかいないバスに、"We have a change machine…"というのがふさわしいのかは私も分かりません。


別に英語なんか得意でも何でもないのに小言ばかりいうのもな、と思うのですが、もともと変な看板、変な掲示を見つけるのが好きなので、こういうのが気になって仕方ありません。

私たちだって、海外で、
「にはんこ てきます」
なんて書いてある店で、十分な日本語のサービスを受けられるとは思えないでしょう。

「あなたは、これをよく利用することができ、料金は2ドルであります」
「傘をあなたと一緒に持って行きましょう。なぜなら、それは、今日、雨が降っています」


なんて書いてあったら、笑ってしまったり、ダメ出ししたくなるのではないかと思います。

どうも、「間違いを恐れない」ことと「間違ってもいいや」と開き直ることを一緒くたにしているひとや、その怠け心に付け入る甘いキャッチコピーを掲げる英語教材が多い気がします。
どうしても瞬間的な判断が必要な会話は、少々間違っていても「言ったもん勝ち」なところがあるのは確かで、私だっていざとなるとちゃんと喋れません。ついこないだも碌な道案内もできずにがっかりして、発音も汚いと怒られっぱなしです。

でも、掲示物や印刷物はビシッと決めないといつまでも人目に触れ続けるので、本当にカッコ悪いです。会話でうまく伝えるのが難しいから、ということでせっかく掲示を出しているのに、下手すると誤解やトラブルで、却って余計な手間がかかるのではないでしょうか。

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※万一何か間違いがありましたらコメントやメールを頂戴できればと思います。
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