青いバス停

There have been buses for more than 90 years in Otsu City. 「専攻?」である大津営業所管内の京阪バスの歴史を主体とした交通関係の記事をはじめ、雑記を記しております。

A proud father introduced his son for the first time at the office.
"How old are you, sonny?"
asked his dad's co-worker.
"When I'm home I'm seven"
said the child,
"And when I'm on a bus I'm five!"

"The Official Smart Kids Joke Book" by Larry Wilde



今から30年前の、1984(昭和59)年9月21日付毎日新聞に掲載されていた、
「一枚の答案から新しいあなたが始まります」
という見出しの日本翻訳家養成センターの広告です。
これを訳して送ると翻訳家としての素質があるかどうか、判定してもらえる、ということのようですが、英語が苦手な私でもいちいち日本語に訳さずに分かるような、いけないことが文末に…。

…絶対素質がないと思いますが、一応訳してみると、

子ども自慢の父親が、初めて職場で息子を紹介した時のこと。
「ぼん、何歳や?」
父親の同僚が聞くと、
「家では7歳やで」
と息子。
「でな、バスに乗った時はな、5歳やねん!」



…お粗末さまでした。

英語は日本語と違って、すぐに「…と言った」という意味で、"said"を間に挟みたがり、時にはセリフの途中に入れたりすることもしばしばですが、日本語では意外と「…と言った」とは言わずに、地の文を入れないで会話文を複数連続させたり、
「…と笑った」
と「言った」代わりの動作を入れたりします。歴史的現在も、英語より日本語の方が圧倒的に多いと思います。
どうせなら路線バスが登場するいい例文がないかと思って調べたら、なかなか味のある戦後すぐの頃の小説を見つけました。

「家のものが、昼間からお邪魔しているはずなんですが、月がいいから、呼びだして散歩でもしようと思って」
 そう言うと、月を仰いで、
「蒸しますな……海端も、思ったより、風がない」
 と、しんみりとつぶやいた。
 サト子は、バスのほうを見ながら、そそくさと答えた。
「その家なら、逗子(ずし)のトンネルの下の道を、飯島のほうへ、すこし行ったあたりです」
「ありがとう。バスにお乗りになるところだったんですね、足をおとめして」
「……そのへんで、きょう空巣のはいった家、とお聞きになれば、わかるだろうと思いますわ」
「へえ、そんなことが、あったんですか」
 サト子が乗ると、すぐバスが動きだした。
(久生十蘭(ひさおじゅうらん)『あなたも私も』より)



逗子なので京急バスでしょう。

あまりに「…と言った」が多いとくどくて、こんな日本語あるか!とイライラするので、私は極力「…と言った」と訳さないようにしています。

で、そんな私のこだわりはまあいいのですが、これが日本なら小児料金も要らない、無料の年齢だということですね。
恐らく外国も大抵そうだから、この「ジョーク」が通じるのでしょう。

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↑昔の、赤青2色刷りの小児運賃の案内は今はないみたいですね。

でもこれは冗談では済まないです。不正乗車ですね。

不正乗車はウェブリオには"steal a ride on a train"と書かれていますが、Googleで調べてもほとんどヒットしないため、本当にネイティブがそんなことを言っているわけではないようです。正しくは、"fare evasion"又は"free ride"です。「不正乗車する」「無賃乗車する」という動詞なら、"cheat on the fare"です。

"cheat"は、騙す、ごまかすという意味で、人目を盗んで何か悪いことをするようなイメージで、例えば、"cheat on an examination"というと、「カンニングをする」という意味です。(因みに、"cunning"は「ずるい」という意味の英単語ですが、日本人がイメージする「カンニング」という表現は日本独特のもので、英米では通じません)

"fare"は運賃です。

辞書を見ると、発音はféə(r)で、「公正な」「公正に」の"fair"と全く同じ発音です。ネイティブも取り違えやすいのか、イギリス版のYahoo!でも、その区別や綴り間違いの例などが取り上げられています。

因みに、アメリカ英語では発音記号通りどちらも素直に、「フェア」に近い発音ですが、イギリス英語では、全体的に「エア」「イア」という音が略されやすく、BBCのニュースを聞いても、「ファー」と聞こえます。

なので、例えば運賃箱(fare box)↓は、英米それぞれ、

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 フェアバクス
 ファーボクス

と言っているように聞こえます。

今回のタイトル「運賃は正しく払いましょう」を英訳するなら、"Pay your bus fare fair."だと同じ音が重なって面白いな、と思い、本当にそういう言い方をするものなのかどうか?と思って、今、イギリス版のYahoo!で調べたら、それは全然ヒットしなくて、ただ、やはり一種の「掛詞」と思われているのか、米・フロリダのタクシー会社Fair Fare Taxiがヒットしました。タクシー会社として、観光客の多いフロリダでの公正な料金サービスはアピールポイントでありましょう。

しかし、思いがけず、もっと目を引くイギリスのサイトに出会いました。

Campaign for Better Transport
「よりよい交通を目指す活動」という感じでしょうか。

このトップページの左の方、Fair Fares Now(公正な運賃の現在)の方に先にヒットしたのです。

「我々は、より安く、より公正で、より簡素な鉄道運賃を求めている。イギリス政府は、世界で一番高い鉄道運賃を設定していながら、毎年運賃値上げを続けている」



イギリスと言えばもちろん、世界で最初に鉄道が敷かれた鉄道王国ですが、その衰退ぶりは近年しばしば報じられた事故のニュースからも明らかで、このサイトでもこう書かれています。
「運賃が上がってきたことが、鉄道利用者の減少の主な要因である。従って、この状況を変え、過度の混雑をカットしたいと思うと、我々にはより安い列車運賃が必要なのである」


バス関係も見逃せません。
Campaigners fighting against Dorset bus cuts(ドーセット州のバス削減に対する活動家の闘い)

上から3段落目までのごく大まかな訳は以下の通りです。

ドーセット州は全国最大規模のバス路線削減を行った。仕事や学校に通う人たちに密接にかかわる夜や週末のバス運行がカットされている。しかし、ドーセットの住民は黙って泣き寝入りせずに地方活動家たちが反撃に打って出ている。

地方バスについての活動家、ジャネット・バーネットは、バス路線の削減がドーセットの自治体にどれ程の影響を与え、住民がどのように抵抗しているかを語ってくれた。

最近の2年度以上にわたって、ドーセットのバス路線サービスは、経費が削減された。特に障害を持っている高齢者や低所得の高齢者への深刻な影響が懸念される。



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↑私の師匠によると、英語圏には存在しないので、英訳も実はかなり無理やりらしい"priority seat"――優先席 

こういうのを読むと、同じ島国で気質に近いところがあると言われるイギリス人の置かれている状況と、日本の地方のバス路線廃止とがオーバーラップし、他人事ではなく見えてきます。高齢者の足の確保…そっくりな問題です。

こうしてイギリスの事例にも学びながら、公共交通が置かれている問題を研究しなければとか、これを何とかつたない英語力で読み解いて、ドーセットに行ってみたい!とか、仰々しいですが何だかこうしてはいられないような焦りすら感じられてきます。

…何だか最初の話からずいぶん変わってしまいましたね(爆)。
結局、"Pay your bus fare fair."が正しいのかどうかはよく分かりませんでした。

世の中は100円の値打ちのものに100円を払って、経済が成り立っていることは言うまでもありません。ほとんどのひとが給料で生活しているわけですが、給料はお客様が買ってくれた物やサービスの代金から支払われているのですから、物を作っても盗られてしまったり、不正を働かれたりするのなら、誰もものを売ったり作ったりしなくなるし、働かなくなってしまいます。もちろん、働く場所もなくなってしまいますから、お金を手に入れる手段がなくなり、みな貧困や物資不足に喘いで、世の中が荒廃してきます。
不正なことをして得をしたつもりでも、結局巡り巡って自分にそのツケが巡るのです。

適正な運賃を正しく支払う、これも公共交通を残す大切な方法の1つでありましょう。

IMG_4682.jpg

(今回の記事で使用しました内装の写真については、乗務員の方にお断りした上で撮影しております)
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