青いバス停

There have been buses for more than 90 years in Otsu City. 「専攻?」である大津営業所管内の京阪バスの歴史を主体とした交通関係の記事をはじめ、雑記を記しております。
昨年の今頃は、比叡平自治会のぽんた3号様のご協力を頂きながら、大津比叡平線・京都比叡平線の30周年記念特集を進めておりました。

こないだ、久しぶりに比叡平に行くと、普段予備車扱いでめったに見ることのないB-1939が動いていました。

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もう廃車になったのかと思っていましたが、エンジン音を聞く限り、御年16歳(!)とは思えない元気さでした。

年始にぽんた3号様にご挨拶したところ、その後のバス利用状況についてお知らせ下さいましたので、後日談として掲載させて頂きます。

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この表は、ぽんた3号様のご了解を頂いて掲載させて頂いております。ぽんた3号様のブログ「みっけ隊」隊員日記の1月4日付記事・新年月報1月号に詳細がUPされておりますので、ぜひご覧下さい。

なかなかおいそれとは見られない資料です。
皆さんはどうご覧になりますか?

まず、期待されているほどには利用が伸びておらず、前年度比微増にとどまっているのが残念です。減らなかっただけまし、ということでしょうか。

ただ、2011(平成23)年9月時点での詳細な統計はわからなかったのですが、翌24年4月1日時点の比叡平の人口(山中比叡平学区のうち、「山中町」以外)が3,100人だったのに対して、この統計表の終期である2013(平成24)年8月1日現在では2,869人にまで、実に約7%も減少しているので、それを思えばやはり住民は多少なりとも意識した、ということかと思われます。…ただ、全体的に人口が増加している大津市内にあって、「住民が減少している」ということの方がまた違う意味で衝撃です。

どこの路線でもそうかもしれませんが、やはり学休期が含まれる8月の旅客数が目立って少ないです。学休期運休の便があることも納得できます。1月や2月、9月も同様の理由で少ないのでしょう。休みが長い大学生、センター試験以降はあまり学校に行かない高校3年生等、ちょっとした要因の積み重なりがあるように思います。
「そんなちっぽけな理由で…」
と思われるかもしれませんが、月平均旅客数が6,000人ほどのこの路線にとって、この数字は侮れるものではありません。
たとえ1人でもそういう学生がいると、1か月で10往復分から20往復分くらいの収入が減ってしまいます。そもそも定期券を買ってもらえません。旅客数としては1か月で20人分から40人分ということです。2人そんな学生がいたら、それだけでもう月平均旅客数の1%ほどになってしまいます。

逆にどちらの年も5月に最も客数が多いのは、特に大学生はその時期は割と真面目に通学している(笑)ことや、時候がよくてお年寄りが外に出やすい、ということがあるのかもしれません。

頂いた表を基に、運行本数や営業キロなどを考慮した表を作成しました↓

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従来からの66号経路と、比叡平口を経由する66A号経路とでは営業キロが1.5キロも違うので、できるだけ正確にキロ当たり収入などを計算したくて運行本数をすべて調べ上げました。
2011(平成23)年12月31日は雪で全便運休したことが分かっているのですが、他の運休便は数が把握できないため、それ以外はダイヤ通りに運転された、と仮定しております。

この表で更に詳細を検討してみると…

○1本当たりの平均旅客数はほぼ10人である。

そんなに乗っているのだと逆に感心しました。
もっと少ないかと思いました。
一般に路線バスの採算ラインは乗客10-15人と言われますが、大津比叡平線は特に高出力の車両を限定して運用しているため燃費が高く、ハードルがもう少し高いのではないかと思います。


○1本当たりに直すと、月ごとの違いが更にシビアに表れる。

学休期運休の便があるのに、学休期を含む月の1本当たり平均旅客数が目立って少なく、学生の利用が同路線の客数、収入に大きく影響していることがうかがえます。


○旅客1人当たりの収入は常に約225円。

これが多いのか少ないのか、比較できるものがないので何とも言いにくいですが、大津京駅-比叡平間の運賃が350円であり、350円区間以外の区間を利用するひとがほとんどないと思われるのに、1人が大津市内総合線の特殊1区間程度の運賃しか支払っていない計算になってしまうということは、定期券、特に割引率が高い通学定期券の比率が高いことが推測されます。


○比叡平の住民全てが月に2回大津比叡平線を利用している計算

○1日当たり収入が4万円

「収入」ということばに騙されてはいけません。個人でも、「収入」と「所得」が同じようなことばのように見えて実はまったく意味が違うのと同じで、会社でも「収入」は「利益」ではありません。経費が差し引かれていないからです。

月給25万円(税・保険料込み)の運転手さんが6時台から19時台までの運行時間中ずっとへばりつきと仮定します。仮に2台で回しているとして、1日当たりのこの路線にかかる人件費をごく大雑把に計算すると、下のようになり、既に赤字です。

25万円÷20.5(日)÷8(h)×14(h)×2(人)≒42,683(円)

※給料で日数を割ると日給が出て、それを勤務時間で割ると、時給が出ますから、これに単純に運行時間帯(ここでは14時間)を乗ずると、どんな勤務体制かまでは分かりませんが、その日1日のおよその人件費が分かります。
※20.5日というのは、月のおよその出勤日数です。週休2日制だと思うので、土日祝日の数を交替して休むのだと考えたら、だいたいこんなものかと思います。


収入が4万なのに、人件費で4万円ほどもかかってしまったら、車両の減価償却費や燃料費、保険料、車検費などは出てこなくなってしまいます。
ごく大雑把な仮定での計算ですから、実際はもっとシビアなのだと思います。

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親切な運転手さんで、私が撮影しているのに気付いて、車体の向きをもとの位置から反対にひっくり返したり、66号経路の幕にしてくれたりしましたが…逆光でした(汗

石山駅―大石小学校間にPTPS(公共交通優先システム)が導入されたことを伝える2005(平成17)年3月19日付読売新聞で、この区間の1日の利用者が約1万人と書かれています。大津比叡平線では1か月かかっても南郷、大石方面の1日分の利用者数に遠く及ばないということが信じられません。

運行本数も利用者数も全く比較にならない状態、そもそも比叡平線は、開通当初から、人口を考えると路線バスを運行するのは苦しいと考えられていたのに、その人口も利用者も減ったのでは、やっていられない、という判断になってしまっても不思議はありません。

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大津京駅に戻ると、もう夕日がきれいな時間になっていました。今思うと夕日がきれいだったので、もう一度乗ればよかった気がします。

先述の通り、街自体の人口が減っているということも気になります。利用者を増やす取り組みだけでない、何かが必要かもしれません。
1つだけ明るい話題は、2月12日付京都新聞で既に報じられたように、3月21日から「京阪バス1dayチケット 京都・大津版」が京都・大津比叡平線でも使用できるようになるということでしょうか。1枚600円で、消費税改定以後も据え置かれるそうなので、三条京阪-比叡平間、大津京駅-比叡平間を往復するだけで元が取れてしまいます(だから逆に利用不可とされていたのですが)。

三条京阪【京都比叡平線開通30周年記念特集24】でUPした大津比叡平線と京都比叡平線の連絡時刻表を再掲します。

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暖かくなってきましたので、いつもと違ったルートで京津間を移動してみられませんか?

末筆になりましたが、快く資料をご提供下さったぽんた3号様と、短い時間でしたが親切に対応して下さった運転手さん、ありがとうございました。

§§§§ 追伸 §§§§

3月6日放送のフジテレビ系『奇跡体験!アンビリバボー』で北海道の「十勝バス」の奇跡の再生が取り上げられたのを見ました。
一時は倒産寸前に追い込まれた会社ですが、時刻表や路線図のポスティングという一見地味な営業活動に始まって、戸別訪問や新しい工夫をした路線図の配付などを続けて、40年ぶりに増収に転じて、現在もそれが続いているということです。
にわかには信じがたいことですが、高校を卒業してからずっと車ばかりで、一般路線バスの乗り方を忘れてしまった高齢者も多いため、乗り方を分かりやすく書いたパンフレットなども作成、需要の掘り起こしに大きく寄与しているようです。

京阪バスは東証一部上場企業傘下で、資金面ははるかに有利で、会社規模自体ずっと大きいと思いますが、それ故に逆に小回りが利かないような気がしてもどかしいです。社員でない私がいうのもなんですが、やっぱり増えるのを待つのではなく、需要を掘り起こそうとする「営業」が必要なんだと思います。

http://www.tokachi.co.jp/feature/201009/20100924-0006703.php
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コメント
この記事へのコメント
(*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ
拝見させて頂きました。
当事者の住民よりはるかに詳しく現状を把握されている喜撰猿丸様に大きく拍手を送らせて頂きます。
バスの利用減少に目が行っていましたが、そもそもの住民が減少しているのですよねぇ〜。
いろんな場所にいろんな問題が転がっていて、それぞれがリンクしているのですねぇ。 (๑¯ω¯๑)
3月の月報でお知らせしたのですが、京阪バスから休日の1本の減便が現在提案されています。
何かを継続させるためには、何かを受け入れなければいけないのでしょう。
仕方のないことですが、減便+消費税UPによる乗車賃値上げはさらに乗車率減少のスピードを上げそうです。

学生が2人乗らなかったら・・・のくだりは目から鱗が!
なにかの突破口になりそうな予感です。♪ヽ(*´∀`)ノ
そのときを狙った乗車率UPな企画を考えてみたいと思いました。

大津〜比叡平線の探求ほんとうにありがとうございました。m(__)m(o^^o)
勉強になりました。
これからもブログを拝見させて頂きます。
お付き合いよろしくお願い致します。
2014/03/09(日) 18:36:28 | ぽんた3号 | #mQop/nM.[ 編集]
Re: (*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ
ぽんた3号様、お世話になります。なかなか取り上げられなくて申し訳ありませんでした。

> 当事者の住民よりはるかに詳しく現状を把握されている喜撰猿丸様に大きく拍手を送らせて頂きます。

私が書けるのは計算して分かることだけで、そんなにお褒め頂くと恥ずかしいです。一番よくご存じなのは運転手さんと利用されている方だと思います。ただ、岡目八目とも言いますから、客観的な目で見ることは必要ですね。

> バスの利用減少に目が行っていましたが、そもそもの住民が減少しているのですよねぇ〜。

人口についての考え方は大変難しくて、地球環境や資源といったマクロな視点から見ると、ある程度減少する方がよいという考え方もあり得るのですが、地域経済などミクロな視点で見ると、減少はインフラ整備・維持、医療、福祉、教育のコストの増大その他諸々の問題を引き起こすことは確かです。その狭間でどうバランスをとるのかが重要です。

> 3月の月報でお知らせしたのですが、京阪バスから休日の1本の減便が現在提案されています。
> 何かを継続させるためには、何かを受け入れなければいけないのでしょう。
> 仕方のないことですが、減便+消費税UPによる乗車賃値上げはさらに乗車率減少のスピードを上げそうです。

何かを得ようとしたら何かを捨てる、ということは必要なことですね。
ただ、引用した、十勝バスの例を挙げるまでもなく、もう少し「攻め」も必要かもしれません。

> これからもブログを拝見させて頂きます。
> お付き合いよろしくお願い致します。

こちらこそ宜しくお願いします。暫く別の特集が続きますが、私もできるだけ比叡平線に乗ってみて、また何かルポができたらと思います。

2014/03/09(日) 20:54:58 | 喜撰猿丸 | #HdXTMQ3I[ 編集]
残念ながら…
京阪バス公式サイトにダイヤ改正の内容が発表されました。
これを見ると、大津比叡平線の始発便の時間が大幅に繰り下げられていますね…。(休日ダイヤ限定ですが)
減便される7:15発は京都方面からの接続がないので、あまり利用が見込めないのでしょうね…。

あまり僕には影響はないですが、これでは…って感じです。
まあそんな朝早くから大津方面へ降りられる人もそんなにいないでしょうから、影響が最小限にとどまるようにした結果がこれなのかもしれません。
しかしこれでは…って感じですね。
2014/03/15(土) 08:57:50 | 快速きらら205号 | #-[ 編集]
Re: 残念ながら…
快速きらら205号様、お久しぶりです。
休日早朝の減便は確かに残念なことではありますが、これは特に比叡平だけ、京阪バスだけの現象ではないと思います。JRでも休日ダイヤにおける早朝の便を削る傾向がここ暫く続いていると思います。

休みの日にそんなに朝早くから誰も動き出さないのか…。
ただ、減便についてすぐに、「車が増えたから」だとか、モータリゼーションしか理由を挙げられないひともいますが、そんなことは今に始まったことではなく、むしろ車の需要の伸びは頭打ちです。私はここ最近の減便に、人口の減少、世代構成の変化などもっと根深い問題を感じます。

話が広がりすぎましたが今回の改正は一方で、山科営業所の「攻め」の姿勢も見られて、興味深いです。
山科急行の延長の定期化は、昨年12月20日付拙稿「山科急行 香里園延長」http://contrapunctus.blog103.fc2.com/blog-entry-84.htmlで、「京阪沿線からJR・新幹線は利用しにくいので、少なくとも香里園-八条口間は定期化して需要を掘り起こしてもよいのではないか」と書いたことが実現することで、大いに関心を持っております。土日祝日限定のようで、本数も少ないですが、新幹線利用客の取り込みなどまだまだ需要の掘り起こしは可能なのではないかと思います。

「醍醐快速」も1時間に1本ではありますが、かつて運行されていたという快速を彷彿とさせ、展開が楽しみです。行楽シーズンには定時運行が難しくなるのではないか、というのが心配ですが、地下鉄東西線と違って、四条河原町に直接出ることができるという強みをフルに生かしてほしいところです。
2014/03/15(土) 21:18:37 | 喜撰猿丸 | #HdXTMQ3I[ 編集]
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