青いバス停

There have been buses for more than 90 years in Otsu City. 「専攻?」である大津営業所管内の京阪バスの歴史を主体とした交通関係の記事をはじめ、雑記を記しております。
(今日は交通関係の話題はありません。ご興味がない方は申し訳ありませんが、また別の記事をお待ち下さい)

「マタイ受難曲」を生演奏で聴いたことが、あるか、ないか。それは貴方の音楽人生の中で、大きな分かれ道になるかもしれません。

なんて言われたら、行かなしゃーないですね。

先日、大阪・福島のシンフォニーホールに、J.S.バッハの音楽の集大成ともいえる『マタイ受難曲』(BWV244)を聴きに行きました。

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同じバッハの曲でも「G線上のアリア」(BWV1068)「トッカータとフーガニ短調」(BWV565)みたいに、テレビや各種のBGMとしてしばしば使われていて、まずほとんど知らないひとがいないような超有名曲と違い、あまりそこらへんでしょっちゅう流れているような曲ではないので、もう一段階進んだクラシック好き、バッハ好きでないと知らないかもしれません。

私は、何をきっかけに聴いたのかまでは覚えていませんが、高校の頃から大好きで、わざわざフルスコアまで買って、楽譜と対照させながらCDを聴く熱の入れようでしたが、10年以上経ってやっと初めて生演奏を耳にしたということになります。

本来、教会で聴くのが一番いいのですが、磯山雅(ただし)が言っているように、

「たしかにこの曲を教会で聴くことに特別な感慨があることは、(その教会が十分な空間とすぐれた音響効果をもっているという前提においてであるが)否定できない。だが《マタイ受難曲》は、教会を出て、世界のコンサートホールに迎えられているからこそ今日の人気がある」



とも言えましょう。

↓これは同合唱団の演奏です。



前奏のコントラバスの一番低い音は、十字架を背負わされて歩かされる、イエスの足取りだと言われています。

途中、何度か「a~~~~~」と聞こえ、単に「あ―――」と慨嘆しているのかと思ってしまいますが、これは〝Kommt, ihr Töchter, helft mir klagen″(来たれ娘たちよ、ともに嘆け)の、“klagen"という単語の“a"です。よく聴いていると、最後に“gen"と発音しているのが分かります。

「マタイ」は十二使徒の1人、福音書記者で、新約聖書の最初にある「マタイによる福音書」を書いたと言われています。(最近の聖書学の研究では違うとのことですが…)
英語圏の男性に、時々マシュー(Matthew)という名前のひとがいますが、これはマタイの英語読みです。

「マタイ受難曲」は、この「マタイによる福音書」の中でも、ユダの裏切り、イエスの逮捕、ピラトの尋問、磔刑、埋葬、というクライマックスを、第1部29曲、第2部39曲の計68曲約3時間の劇音楽にして聴かせます。

野球の試合がだいたい2時間、サッカーは前半後半合計きっちり90分が基本ですから、3時間なんて書くとさぞかし退屈だろう、と思われる方もいるかもしれませんが、ものすごいドラマティックで、夢中になります。

因みに、「真夏の夜の夢」などで知られる作曲家フェリックス・メンデルスゾーン(Jakob Ludwig Felix Mendelssohn Bartholdy 1809-1947)が、埋もれて忘れられそうだったこの曲を復活させたそうです。何と彼の母方の祖母からの14歳の誕生日プレゼントがこの曲の写筆スコアだったそうです。そんなものもらって喜ぶ14歳は後にも先にも彼だけではないかと思います。また、おばあちゃん、よくそんなものもっていたなあ。

最後の曲の一つ前、第67曲で、ソプラノやアルト(カウンターテナー)などの独唱に、“Mein Jesu, gute Nacht!”(私のイエスよ、お休みなさい)という合唱が何度も挟まれるのを聴いて、クリスチャンでない私も感激で何度も涙がこぼれそうになりました。

復活をはっきりと描くのでなく、聴き手に想像させるところが、文学的であり、ある意味日本的なようにも見えます。真っ暗なだけの曲かと思っていて、それはそれで好きだったのですが、最後まで一気に聴き通すと、最初の曲の真っ暗闇の中から、仄明るい救いの黎明(れいめい)までが見通せて、なんて大きな物語なのだろう、と改めて感銘を受けます。

この感動は、部屋でひっくり返って、あくびをしながら聴いていたのでは得られません。3時間眠くなりそうになったり、腰が痛いのを我慢して坐って聴いた末に、一つの物語が目の前に立ち現れた、ということで得られる感激です。

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