青いバス停

There have been buses for more than 90 years in Otsu City. 「専攻?」である大津営業所管内の京阪バスの歴史を主体とした交通関係の記事をはじめ、雑記を記しております。
残暑厳しい今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?

昨年の今日の、拙ブログの記事は、納涼バスでした。1963(昭和38)年7月20日付朝日新聞で紹介された「納涼バス」。京阪バスは三条京阪17:50発比叡山頂行き、帰りが22時前着、大津駅17:30発比叡山頂行き、20:00大津駅着というダイヤです。

この3年後の1966(昭和41)年、夏本番を前にした5月15日付の朝日新聞京都版(市内・山城)の大丸の広告によると、

冷蔵庫・扇風機・クーラー 超特価奉仕 きょう限り 6階催場

一流メーカー製電気冷蔵庫 37,000円
一流メーカー製扇風機    6,500円
一流メーカー製ルームクーラー 78,000円 87,000円 (※2種類出ていた)



大卒初任給が2万数千円の時代ですから、今の値打ちで言うとクーラーは…70-80万?????

そんなもの誰も買えないですね。1960年代の『三種の神器』は、車、カラーテレビ、クーラーだそうですが、クーラーはやはり一番普及が遅かったようです。
庶民の涼み方で、ちょっと贅沢なのが、比叡山の納涼バスだったのかな?と去年、記事を書いた当時思ったわけですが、正直なところ、
「比叡山に登ったからってそんなに涼しいのか?」
と疑問に思っておりました。しかし、先日、生まれて初めて坂本ケーブルで登ったら、本当に暑くもなく寒くもなく、麓と全く違っていて驚きました。石山・南郷でも大阪に比べれば十分涼しいようで、大阪の親戚や友人が来ると一様に驚かれる(気温そのものは1,2℃しか違わなくても、湿度や風の関係で体感温度を低く感じるらしい)のですが、比叡山は、正に天然のクーラーでした。

麓の坂本延暦寺駅の標高差は484m、写真には撮り損ないましたが、ケーブル坂本駅には双方の気温が掲示されており、坂本29℃、延暦寺駅23℃でした。

↓延暦寺駅付近から堅田方面を望む

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乾燥断熱減率(水蒸気が飽和していない空気が、高度に反比例してどれだけ気温が下がるかの割合)は、100mごとに1℃なので、高校の地学の教科書通りなら4.8℃違うはずですが、理論上より差が大きかったということになります。

半袖でちょうど気持ちいいです。もっとも、本格的に登山される方は、ヘビやハチが怖いので、ちゃんと長そで長ズボン、動きやすい靴を着用して下さい。

私はブログ「取材」その他の都合で、バスで比叡山に登って、ケーブルで下りる、というルートを取りました。

↓先ほどと逆に、大津、膳所方面を望んでいます。

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↓ケーブル延暦寺駅。
ゴッホの『黄色い家』を思い出さずにはいられませんでした。形はかなり違うんですが、こういう黄色は日本の建造物では珍しいので、黄色が印象的なゴッホを思い出したのでしょう。1927(昭和2)年の開業以来使われている建物だそうで、70年目の1997年に、国の登録有形文化財に指定されています。

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駅の中で真っ先に私が気になったのは、運賃表↓
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片道840円という、いいお値段であることもさることながら、定期券の設定があるというのがすごい。「通勤」は、山にあるホテルや土産物屋さんの従業員などが使うのだろうな、と想像がつくのですが、「通学」??? 山の上に学校はないし、逆に山の方に住民票を置いて、下に通っている子どもなんかいるのかな?

↓後で調べたら、2階は貴賓室だったそうですが、現在は一般開放されています。貴賓室というからには、皇族方とか総理大臣などの国務大臣がお越しになることを想定していたのでしょうか。

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↓すごい!ダンスホールみたいな感じで、歩くと独特な反響があります。

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↓ケーブルカーに乗り込みます。

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↓運転士さんによっては、観光客向けにアナウンスもして下さいます。「ありがたき」という滝があると聞きましたが、進行方向右側なので、左側に座っていた私にはよく分かりませんでした。何をダジャレを言っているのか、と思ったのですが、後で調べたら本当に「蟻ヶ滝」という滝なのだそうです。

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「交換」するところです。「離合」「行き違い」というよりは「交換」という方が鉄道らしいですね。「タブレット交換」から来ているのでしょうか。
ケーブルカーのポイントレールは特殊で、テープのアナウンスでもその解説がされています。普通の鉄道のように開いたり閉じたり動くのでなく、車輪の形が左右で違っていて、レールもそれに合った形になっているため、決まっている側しか通ることができません。

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↓途中2カ所ある駅のうちの1つ、「ほうらい丘」。1984(昭和59)年開業と、4つの駅の中では一番新しいです。
現在はここに通じる登山道が通行止めになっているため、文字通り陸の孤島。もう1つの「もたて山」とともに、事前に特別に申告しなければ通過します。見えている祠は、ケーブルカー建設時に発掘された石仏を収めたものだそうです。

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↓だいぶ麓が近付いてきました。琵琶湖博物館とともに、よそからお客様が来た時に、必ず見せたい観光名所だと思いました。

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↓ケーブル坂本駅に着きました。江若交通のバスが待っています。恥ずかしながら、ここまで乗り入れているとは
知りませんでした。

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↓こちらも延暦寺駅同様、登録有形文化財に指定されているだけあって、照明一つとっても風格があります。

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↓比叡山坂本駅行き、歩けなくはないのですが、この暑い時期だと、ちょっとしんどいので、バスがありがたいですね。因みに、ケーブルカーでは使えるスルッとKANSAI3dayチケットなどの各種カード類は、もちろん一切使えません。

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↓時たまネットオークションで、ケーブル坂本駅の昔の絵はがきが売られていることがありますが、その雰囲気そのままです。バスの停車位置もだいたい今と同じだと思います。

坂本地区の京阪バス路線の前身、「湖南汽船株式会社」が、比叡山ケーブル開業時から、こうしてケーブル乗場に乗り入れていたということが『京阪バス五十年史』の年表から分かっており、1940(昭和15)年に一旦休止となるものの、1950(昭和25)年に再開しているので、紅白カラーがここでも見られたのはほぼ確実だと思われます。

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↓バスが乗り入れているとは信じ難い狭い道。

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↓京阪バスは、麓の「坂本ケーブル乗場」バス停で、ケーブルとの連絡を図るために待機していました。

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↓この、有名な穴太積の石垣がある急なカーブを、京阪バスが5年前まで曲がっていたんですね。この辺でも撮っておけばよかった…。

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↓京阪坂本駅。建て直されたのは知っていますが、改めてこうして見ると、美術館みたい。

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↓昼は、坂本駅近くの、有名なそば屋、鶴㐂(つるき)へ。

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あ、また写真撮り損なった…。すみません。もうとっくの昔に胃袋へ…。310円加算すると、かやくご飯が付いてきます。手打ちなのと、冷たいのとでちょっと麺が固く感じるひともいるかもしれませんが、私はおいしかったです。

比叡山は秋の方がより観光客が多いようですが、夏もお勧めです。家のクーラーを消して、天然のクーラーを浴びに行かれてはいかがでしょうか。
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コメント
この記事へのコメント
株主定期券?
「このケーブルには定期で乗っていたよなぁ。。 コメントしよう。。」  なんて思いながら読ませて頂いていましたら文中に出てきました(笑)

高校三年生の夏、根本中堂とドライブのところにあるお蕎麦屋さんでバイトしていました。京阪電車で坂本まで、そして坂本ケーブルでの通勤。ケーブルは株主用の定期券でした。
あの頃、行きも帰りも結構な観光客さんの数で座る事はできませんでした。
バイトが終わる頃には駅のおじさんと仲良くなっていました。。



ケーブルに乗っていると、途中から突然に空気が変わるんですよ。突然に冷気が入ってきます。。 それは決まって同じ場所。。
丁度 交換の場所あたりだったでしょうか。。
今ほどの酷暑ではないとは言うものの、当時でも夏は暑く、「比叡山でのバイトは涼しいよぅ~」と友達に自慢していたものです。
あの頃、もたて山キャンプ場もあり、「もたて山」の乗降客も多かったです。。
2011/08/11(木) 17:20:00 | yume | #/eG2YYas[ 編集]
Re: 株主定期券?
> 「このケーブルには定期で乗っていたよなぁ。。 コメントしよう。。」  なんて思いながら読ませて頂いていましたら文中に出てきました(笑)

なんと、yume様が定期乗車されていたとは…。江若は残念でしたが、本当に何でも経験されていますね。

> 高校三年生の夏、根本中堂とドライブのところにあるお蕎麦屋さんでバイトしていました。京阪電車で坂本まで、そして坂本ケーブルでの通勤。ケーブルは株主用の定期券でした。

株主?交通費を出す代わりに貸与するという感じなんでしょうかね。そんなアルバイト、よくうまく見つけられましたね。

> あの頃、行きも帰りも結構な観光客さんの数で座る事はできませんでした。
> バイトが終わる頃には駅のおじさんと仲良くなっていました。。

今も夏のピークはそういう感じでしょうね。私の印象では、ケーブルカーは分かりませんが、バスは紅葉の頃の方がなお一層混んでいる気がしました。京都の観光のピークそのものが秋ですから。

> あの頃、もたて山キャンプ場もあり、「もたて山」の乗降客も多かったです。。

逆に、今はキャンプ場がないんですね。当時は漢字の「裳立山」でしょうね。
2011/08/11(木) 22:28:17 | 喜撰猿丸 | #HdXTMQ3I[ 編集]
通学定期券
通学定期券の利用者は、ケーブル延暦寺周辺(無動寺地区)のお寺の子弟が坂本の学校に通学するためのものです。高校は場所柄「比叡山高校」への進学が多いようです。
また、地方のお寺が、子供を跡継ぎにするために、中学校を卒業すると、無動寺地区のお寺に預けて、そこから比叡山高校に通学させるということもあります。
それにしても、約2キロで片道840円というのは高いと思いますが、タクシーの山岳料金とほぼ同額に設定しているのかもしれません。
私の小学校の頃は、4年生か5年生の遠足のコースが、京都市内から京阪電車で石山寺に行き、船で坂本、ケーブルで延暦寺、徒歩で八瀬ケーブルの比叡山駅、八瀬から叡電で出町柳、市電で学校の最寄電停というのが定番のコースでした。
2011/08/13(土) 15:08:32 | T.F | #-[ 編集]
Re: 通学定期券
T.F.様、いつもお世話になります。早速私の小さな疑問に答えて頂き、ありがとうございます。

> また、地方のお寺が、子供を跡継ぎにするために、中学校を卒業すると、無動寺地区のお寺に預けて、そこから比叡山高校に通学させるということもあります。

昨日、1986(昭和61)年10月10日付朝日新聞の、「谷々の営み」というシリーズ記事の第五回「しかられ役の小僧」という記事を目にしましたが、それが正にこのケースですね。
泣く子も黙るような有名な千日回峯行者の下で厳しい修行に励む、群馬県出身の当時17歳の高校生、彼は比叡山高校ではなく、公立の定時制高校に通っていましたが、ああこういうひとが通学定期を使っているのかな、と思っていたら、ちょうどT.F.さんからコメントを頂いた次第です。

> それにしても、約2キロで片道840円というのは高いと思いますが、タクシーの山岳料金とほぼ同額に設定しているのかもしれません。

ちゃんと顧問の会計士の先生とかに相談して、これが妥当な料金、として設定しているのでしょうね。人件費は、恐らく京阪電鉄本体とあまり大きくは違わないと思うので、あとは仰るようなそういう他の交通機関との釣り合いの他、山岳なので保守点検も普通よりお金がかかりそうなので、そういうものを根拠に算出しているのでしょうね。

> 私の小学校の頃は、4年生か5年生の遠足のコースが、京都市内から京阪電車で石山寺に行き、船で坂本、ケーブルで延暦寺、徒歩で八瀬ケーブルの比叡山駅、八瀬から叡電で出町柳、市電で学校の最寄電停というのが定番のコースでした。

結構盛りだくさんで豪華なコースですね!それで1日で回れるんですね。私がそのコースで回りたくなりますw
2011/08/14(日) 09:21:21 | 喜撰猿丸 | #HdXTMQ3I[ 編集]
No title
こんばんは。

毎日暑いですねぇ。

わたしは学生時代、比叡山の山頂遊園地でバイトしてました。
夏はオバケ屋敷、冬はスキー場へ行ってました。
今は、ガーデンミュージアムになって、回転展望台(もう回りま
せんが(^^ゞ )だけが当時のままです。

やっぱり夏は凉しかったです。夜、小雨が降ったりすると震える
くらい寒かったこともあります。
2011/08/17(水) 22:57:55 | なかっちょ | #4RB3NX36[ 編集]
京都側ケーブルの定期券
あっ!! 書き忘れてましたが、

京都側の電車・ケーブルはも業務用の定期券(特別乗車証)を
発行してくれてましたね。

ロープウェイは、内規で「乗車票等での利用禁止」の定めが
あって、普通の通勤定期券をくれました。

よろしければ、幣掲示板ででも、写真をUPしましょうか?
2011/08/17(水) 23:06:29 | なかっちょ | #4RB3NX36[ 編集]
叡山ケーブル
なかっちょ様、レスが遅れてすみません。
yume様をはじめ、結構普通に比叡山でバイトされる方がいらっしゃったんですね。石山方面からだと、毎日家から見えるわけではないので、ちょっと距離感があり、通うということは考えにくいですが、大津や左京辺りだと十分通えるんですね。

>ロープウェイは、内規で「乗車票等での利用禁止」の定めが
あって、普通の通勤定期券をくれました。

その内規、非常に興味深いですね。「乗車票等での利用禁止」…「乗車票」とはどういうものでしょう?株主優待券とかそういうものを指していて、乗車券(普通乗車券、定期券など)は含まないということでしょうか。そういうものは全部「乗車票」だと思ってしまうのですが…。
もしかしたら、スルKAN2day、3dayチケットが使えないのは、そのためか?と思いましたが、でも、「比叡山1dayチケット」は使えますよね…。

画像の件は、ぜひお願いします。UPされたらまたコメントにアドレス付きでお知らせ頂けると、私だけでなく、読者の方もご覧になれると思います。
2011/08/21(日) 10:54:58 | 喜撰猿丸 | #HdXTMQ3I[ 編集]
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