青いバス停

There have been buses for more than 90 years in Otsu City. 「専攻?」である大津営業所管内の京阪バスの歴史を主体とした交通関係の記事をはじめ、雑記を記しております。
今からちょうど60年前、1956(昭和31)年5月30日付読売新聞滋賀版↓

S31.5.30Y 石山駅と宇治川ラインを結ぶ回遊コースb

南郷に住んでいると、「もう少し南に京阪電車が伸びていたら…」というような話を聞いたものです。しかし、そういうことが正式に要望されていたというのは、この記事で初めて知りました。それも石山寺の副住職の要望だったとは……。

瀬田川の東岸を走ることが想定されているんですね。今の目で見ると、石山寺駅からそのまま西岸を簡単に南進できそうですが、当時の西岸は、今遊歩道や駐車場になっている旧道しかありません。川を埋め立てるという発想もなかったでしょうから、確かに電車をそのまま延伸しようとすると、さてどこを通すのか?という問題になったのだと思います。

石山寺駅から延長すれば好都合だが、石山は大理石でできた石だからトンネルも掘れないが、対岸は県道ぞいの空地があるから路線も簡単にとりつけられるというわけ



私も気を付けないといけませんが、1つの文章の中に逆接の接続助詞の「が」が2回という大嫌いな文章。ぐるっと回って1周して……結局、何が言いたいのか分かりません。で、文末がなぜか「というわけ」。私の小さなブログではありません。60年前の日本人の大先輩、それも新聞記者に対して申し訳ありませんが、天下の新聞にふさわしい文章なのでしょうか?日本語力や漢字力の低下が嘆かれる昨今ですが、私は今の新聞の方がきちんとしていると思います。

それにしても、記事に載っているような形だと、石山寺駅は盲腸線の末端ということになって、本当に瀬田川東岸に新線ができたら、あっという間にローカル化して、最悪、廃止されてしまったかもしれません。

山門前に橋を架ける、というのはつまり東岸にできる駅に行けるように、ということでしょうか。石山寺山門から京阪石山寺までの距離よりは短いでしょうけど、それにしても結構な距離です。橋の上からの眺めを楽しめるなら、それなりに名所になったかもしれません。


結局、このような鉄道での回遊コースは実現しなかったことは改めて言うまでもありません。その代わり、京阪グループによる回遊ルートは、それこそ戦前から存在していました。

↓右から左に書かれた横書き(右横書き)のパンフレット

IMG_9906.jpg

戦後はほぼ使われなくなった書き方なので、戦前と考えてまず間違いないでしょう。
どうも右横書きというのは、もともとは一文字ずつ縦書きにしている、というようなイメージのようです。
もうこの時点で、宇治川ラインの回遊がアピールされています。

↓こちらは右横書きと左横書きが混在しています。

IMG_9898.jpg

「車電阪京」と書いてある以外の横書き部分は、みな左から右に書かれていますが、これもまた戦前でしょう。

船、電車、バス、あらゆる交通機関を駆使して、大阪から大津、宇治に抜ける、またはその逆のコースです。
最近は単なる移動だけでなく、乗ること自体を楽しみ、美しい車窓をめでる交通機関、特に列車が多数ありますが、そうした交通機関の先駆けのようにも思われます。

車は便利な反面、こういう乗ることが目的のような交通機関を利用する時、とんでもない大荷物になってしまいます。
今、旅行をしようと計画する時、乗りたい交通機関と、その前後をどうつなぐのかということの狭間で悩むことがよくあります。
この当時は、車なんて持っているひとはほとんど皆無に近いですから、そんな悩みを持つ必要はなかったことでしょう。

↓上の写真のパンフレットの裏側

IMG_9899.jpg

外畑に料亭!信じられますか?
もう跡地は水没してしまっているのでしょうね。

私が特に注目したのは「喜撰嶽」の項です。

橋の袂(たもと)に佐久奈度神社を伏し拜み、鹿跳米かしの急瀨急淵(きゅうらいきゅうえん)の絶景を歎賞し、立木觀音に合掌して旅恙(つつが)なく南郷洗堰へと逹するに要する時間凡そ二十分



先ほど、身の程もわきまえず新聞記事の日本語の批判をしましたが、一方でこのパンフレットの筆者は、私が下手くそなブログ記事で数回にわたって書いた数キロの旅を、松尾芭蕉か兼好法師かと思わせるような気品ある文章で、たった2、3行で書いています。

松尾芭蕉も兼好法師も、何百年も前のひとなのにその名が残っていますが、数十年前のこのパンフレットの筆者は、まるで職人のように名前を残さずに多くのひとを旅に誘(いざな)いました。


戦後も引き続き、宇治川ラインの回遊ルートの観光は、京阪グループの代表的な「商品」であり続けましたが、それについてはまた今度取り上げます。
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